シニア層への商売上手を科学する

小売りに関する記事の中で、シニアと言う言葉に遭遇しないことがないほどその注目度は依然高いが、それに相応しい対応が、小売りの側できちんとなされているのだろうか。今回は、シニアへの商売上手を科学すると題して、シニアのニーズを捉えた事例を説明する。

"シニア層への商売上手を科学する" table of contents

  1. シニア層への商売上手を科学する
  2. PB商品とそのベンチマークNB商品は真逆のグラフになる?
  3. 石神井地区のふたつの新店に見る白菜の小分け度

シニア層の分析に活用する年代別特性5.1分類とは

小売りに関する記事の中で、シニアと言う言葉に遭遇しないことがないほどその注目度は依然高い。しかしそれに相応しい対応が、小売りの側できちんとなされているのだろうか。そもそもシニアの嗜好やニーズを、小売り側では何を持って把握しているのか。この疑問は、顧客志向を標榜する小売りが多い中、依然、本気で顧客への接近を試みる企業が少ないように思われることに起因する。ほとんどの企業がポイントカードを導入しているものの、企業側の大きな武器となるはずの顧客データを分析、活用することよりも、プローモーションの利用に熱心な企業がまだまだ多いからだ。
そこで今回は、シニアへの商売上手を科学すると題して、顧客データを使って、シニアの嗜好、特性を読み解くことからシニアのニーズを捉えた事例を売り場と絡めながら説明してみたい。今回の分析には、5.1分類と名付けた分析手法を用いているが、最初にその手法について簡単に説明しておきたい。

シニアへの商売上手を科学する図表1
図表① 年代別特性5.1分類の5つの型
グラフには0.1の部分(突出型)は表現されていない
対象商品の購買会員の年代別構成比÷(稼働)会員の年代別構成比×100
※(稼働)会員=データの対象期間中に購買があった会員

図表の①は、稼動会員i(※1)の年代別構成比と、ある商品を購買した会員の年代別構成比の比較をグラフ化したものである。このグラフの基となる数値は、図表①の下に記載された計算式で算出されている。これに基づく年代別特性の5つの型ii(※2)が、図表①で示されている曲線のパターンである。では何故5つなのか。その理由のひとつは、振り分ける型が多くなるほど解析に時間を要し、且つ多くの打ち手が必要となることから、絞り込みが必須であったということ。もうひとつの理由は、複数社にわたる20万以上に及ぶ単品を全て調査した結果、どんな商品でも、ほぼこの5つ型(売れ数が極端に小さいものは除く)に振り分けられることがわかったからである。では何故5分類ではなくて5.1分類なのか。それは、それぞれの型のより顕著なものが把握出来るように、突出型(例えばシニア支持型の顕著な商品は、突出シニア支持型)として更に切り分けたためである。それを0.1と数えて年代別特性5.1分類と名付けたものである。ちなみにこの名称は、オーディオの5.1チャンネルiii(※3)を模してネーミングしたものであり、今回この5つある年代別特性の型の中から、シニア支持型にスポットを当ててみよう。

シニアはラベンダーの香りに惹かれる?

図表② トイレ芳香剤のシニア支持型商品売れ数上位15品目

品名 突出型
1 トイレ消臭力スプレー無香料 330ml シニア
2 ブルー酵素パワー2倍 120g シニア
3 トイレ消臭力スプレーラベンダー 330ml BL19 突出シニア
4 サワデーつめ替 ラベンダー&ブルーラベンダー 140g 突出シニア
5 トイレの消臭力 ラヴェンダー 400ml 突出シニア
6 トイレの消臭力 アクアソープ 400ml シニア
7 トイレの消臭力 アップルミント 400ml シニア
8 サワデーつめ替 レモン&スイーティ 140g 突出シニア
9 トイレの消臭元 やすらぎそよぐラベンダー 400ml 突出シニア
10 イオンパワー消臭元SP シトラス 330ml シニア
11 イオンパワー消臭元SP ラベンダー 330ml 突出シニア
12 トイレその後に 強力1滴消臭 20ml シニア
13 トイレその後に 無香料 330ml 突出シニア
14 トイレその後に フレッシュグリーン 330ml 突出シニア
15 ブルーレットおくだけ詰め替えブルージャスミン 25g 突出シニア

実際の見方として、芳香剤の5.1分類を見てみよう。図表②がそれである。この表には紙面の関係からシニア型の商品の売れ数しか掲載していないが、シニア支持型にのみ集中して登場し、他の型にはほとんど登場してこない商品が、ラベンダーの香りの商品なのである。この結果は、事例以外の複数他社においても同様であった。何故ラベンダーなのか。その理由は推測するしかないが(数ある香りの種類の中で、過去から最もポピュラーな香りということでシニアに一番親しみがある?)、例えば小豆を使った菓子パンや氷菓、ノンオイルタイプのドレッシング、あるいは玄米茶など、シニア支持型に集中して登場する特定の嗜好や特性を持った商品は他にもたくさん存在する。このようにある型にのみ偏って登場する商品に共通する特徴がわかれば、何故支持されているのか容易に推測できる。5.1分類では、小中分類単位で、5つの支持型別に売れ数の大きい順に単品が示される。それにより各支持型別に登場する商品の共通の特徴が容易に把握出来るため、シニアの特性を読み解く際に役に立つものとなる。それを使ってまずはPB商品に関する事例から見てみよう。

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