リピート率で品揃えの妥当性を科学する

一口にリピート率と言っても捉え方次第では品揃え必須商品を誤ってしまう。今回は清酒と料理酒をテーマに、リピート率についてデータに基づいて考察する。また、売り手側の当然が、買い手側の当然ではないことを念頭にチャンスロスを減らす試みについて触れている。

"リピート率で品揃えの妥当性を科学する" table of contents

  1. リピート率で品揃えの妥当性を科学する
  2. リピート率が高いことが、ヘビーユーザーが多いことを意味するとは限らない
  3. 料理酒、料理用の清酒、清酒、どこが違うのか?

紙パックの清酒、2種の容量が必要な商品はどれ?

小は大を兼ねる。小売りでは、一般食品含めてまず規格・容量の小さな商品から優先して品揃えすべきである。そこで、写真①を見ていただきたい。

リピート率で品揃えの妥当性を科学する写真①
写真① 小は大を兼ねる?紙パックの清酒

紙パックの清酒である。このタイプの清酒には、900ml、2000ml(または1800ml、一部に3000mlもある)と売り場には2種類の容量の商品が揃えられていることが一般的だ。写真のような糖質制限を謳った清酒は、ほとんどのスーパーに1~2種類ほど品揃えされているようだが、この場合、容量の小さな900mlをまず優先して品揃えすべきということは冒頭に記載の通りである。事実、一般的な食品スーパーにおいて、2000mlがなくても、900mlの品揃えはある場合がほとんどで、その逆を見ることはない。ところが、そんな品揃えの商品において、ある共通点があることに気付いた。それが決まって糖質制限タイプの商品であるという事実である。たまたまではなく、複数の異なる企業のスーパーで同様の品揃えになっていたのだ。何故糖質制限の商品に限って900mlだけにしたのだろうか。何か理由があるのだろうか。他はすべて2種類の容量の商品が品揃えされているにもかかわらず、である。そこでその選択に妥当性があるのか、そうでないのかを、リピート率を使った検証で確かめてみたい。

ふたつのリピート率から読み解く品揃えの優先度

リピート率は当然高い方がよい。当たり前の話である。しかしリピート率が低くても、品揃え必須商品もある。優良会員が購買しているから?FSP分析においての決まり文句だが、そんな話ではない。通常リピート率は、人を基準に、全購買者に占める複数回購買者(複数回=2回以上購買)の割合を示したものだ。

図表①は、ある小売りチェーンの清酒部門の商品を、リピート率の高い順に並べたものである。ここで先に述べた糖質ゼロの清酒に注目してみよう。

図表① 清酒の累計リピート率
1
上等土佐鶴本格辛口 720ml 43.8%
2 菊正ピンパック やや辛口 180ml 41.9%
3 サカリカップ 生貯蔵酒 300ml 40.9%
4 米だけのやさしい思いやり 180ml 39.1%
5 ふなぐち 菊水一番搾り 甘口 200ml 38.8%
6 かみなり三代 パック 180ml 38.5%
7 上撰 金冠ワンカップ大関 180ml 37.9%
8 黒松剣菱 900ml 37.5%
9 しぼりたて原酒 720ml 36.4%
10 のものも パック 500ml 36.1%
11 純米酒 米だけの酒 2L 35.9%
12 まる パック 640ml 35.3%
13 すっきり辛口 パック 900ml 34.8%
14 上撰 菊正宗 樽酒 720ml 34.2%
15 佳撰 月桂冠 エコカップ 210ml 33.3%
16 黄桜 金印 720ml 31.8%
17 越の寒中梅 純米吟醸 200ml 31.3%
18 ピンパック 淡麗仕立 2000ml 31.1%
19 しぼりたて純米 30.8%
20 辛口 900ml 30.5%
21 松竹梅 天 エコパウチ 900ml 30.0%
22 菊水の辛口 新潟 辛口 720ml 29.2%
23 辛口一献 2000ml 29.0%
24 松竹梅 天 2000ml 28.1%
25 樽酒 300ml 27.3%
26 米だけの酒 900ml 26.3%
27 松竹梅 天 カップ 200ml 26.1%
28 清酒 八海山 720ml 25.7%
29 清酒 八海山 300ml 25.5%
30 出羽桜 吟醸酒 辛口 180ml 25.0%
31 つき 2000ml 23.7%
32 金印 300ml 23.7%
33 奥の松 本醸造辛口 カップ 180ml 23.1%
34 月桂冠糖質ゼロ 900ml 22.2%
35 大関 ワンカップ ミニ 100ml 21.6%

リピート率が30%を超える商品が多い清酒の品群の中にあっては、22.2%、34位のランキングは決して高いとは言えない。これだけ見ると、900mlの品揃えだけでも問題はないのではないかと言えなくもない。しかし、金額リピート率(図表②)というもうひとつの指標では、88.8%と高い実績を示しているのだ。ランキングでは第2位である。

図表② 清酒の金額リピート率
1 米だけのやさしい思いやり 180ml 90.4%
2 月桂冠糖質ゼロ 900ml 88.8%
3 かみなり三代 パック 180ml 85.7%
4 サカリカップ 生貯蔵酒 300ML 83.3%
5 菊正ピンパック やや辛口 180ml 82.8%
6 出羽桜 吟醸酒 辛口 180ml 82.6%
7 ふなぐち 菊水一番搾り 甘口 200ml 81.5%
8 辛口一献 2000ml 79.1%
9 上撰 金冠ワンカップ大関 180ml 78.0%
10 純米酒 米だけの酒 2L 76.0%
11 上撰 菊正宗 樽酒 720ml 73.2%
12 松竹梅 天 2000ml 72.2%
13 すっきり辛口 パック 900ml 71.2%
14 清酒 八海山 720ml 70.7%
15 のものも パック 500ml 69.5%
16 黒松剣菱 900ml 68.8%
17 佳撰 月桂冠 エコカップ 210ml 68.5%
18 松竹梅 天 カップ 200ml 68.4%
19 菊水の辛口 新潟 辛口 720ml 68.0%
20 上等土佐鶴本格辛口 720ml 67.6%
21 清酒 八海山 300ml 66.1%
22 ピンパック 淡麗仕立 2000ml 66.0%
23 辛口 900ml 64.4%
24 つき 2000ml 64.0%
25 白鶴 大吟醸 720ml 62.7%
26 しぼりたて純米 62.5%
27 樽酒 300ml 62.0%
28 米だけの酒 900ml 61.7%
29 まる パック 640ml 61.2%
30 松竹梅 山田錦 特別純米 720ml 60.9%
31 松竹梅 天 エコパウチ 900ml 59.7%
32 しぼりたて原酒 720ML 58.6%
33 金印 300ml 55.0%
34 吟醸 八海山 ひょうたん瓶 180ml 53.2%
35 越の寒中梅 純米吟醸 200ml 52.2%

この金額リピート率とは、一般的なリピート率が、リピーター(人)の割合を示したものに対して、リピーター(人)の購買金額の割合を示したものである。この二つのリピート率の差が意味しているものは何だろうか。

図表③-1 購買頻度別人数、及び累計リピート率、金額リピート率表
  購買頻度 対象人数 人数構成比
(累計リピート率)
購買金額構成比
(金額リピート率)
トライアル 184日に1回 42人 77.8% 11.2%
リピート 2日に1回 1人 22.2% 88.8%
3日に1回 1人
4日に1回 1人
26日に1回 1人
37日に1回 2人
46日に1回 1人
61日に1回 3人
92日に1回 2人
リピート率で品揃えの妥当性を科学する図表3-1
図表③-1 購買頻度別人数、及び累計リピート率、金額リピート率グラフ
リピート率で品揃えの妥当性を科学する図表3-2
図表③-2 金額リピート率と累計リピート率のマトリクス

累計リピート率が高く、金額リピート率も高い商品は、図表③-2のマトリクス図において、第1象限部分に示される。当然定番を維持すべき商品である。しかし見落としてはならないのは、第2象限にあっても、縦軸の高い部分に位置する糖質ゼロのような商品である。金額リピート率(縦軸)が著しく高い商品は、第1象限に位置する商品同様に、定番維持候補の商品なのだ。
糖質ゼロの清酒は、糖質を削減したビールと同様に、カロリーを気にする人や糖質制限のある人などの特定ターゲットの商品である。ビールほどの品揃えの種類はないものの、代替商品の少なさから、逆に特定銘柄を継続して利用している人が多いと考えられる。それを示すデータが、金額リピート率であり、それが高いということは、ヘビーユーザーの割合が高いということに他ならない。

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  1. リピート率で品揃えの妥当性を科学する
  2. リピート率が高いことが、ヘビーユーザーが多いことを意味するとは限らない
  3. 料理酒、料理用の清酒、清酒、どこが違うのか?