ロイヤリティマーケティングの功罪

今回は顧客のロイヤリティについて取り上げる。ロイヤリティマーケティングといえば、FSPと密接な関係にあるが今回はFSPの考え方では捉えきれない顧客ロイヤリティ、店舗のアクセスと来店頻度の関係、生活パターンと普段の買い物の位置付けと来店頻度の考え方について紹介する。

"ロイヤリティマーケティングの功罪" table of contents

  1. ロイヤリティマーケティングの功罪
  2. 優良顧客のロイヤリティは本当に高いのか?
  3. 主婦にとっての普段の買い物の位置付けとは?
  4. 現状維持が基準、その変化は、大きなアラームとなる

ものごとが行き詰ってにっちもさっちもいかなくなることを「暗礁に乗り上げる」と表現する。「暗礁」を英語に替えて「デッドロック」に乗り上げるとつい口に出してしまう人も多いが、日本人には難しいRとLの取り違えの典型的な事例だろう。デッドロックのロックは、岩のRockではなく、鍵のLockである。鍵があまくなって、思うように開かなくなった状態を表わしている。暗礁もデッドロックも、意味はほぼ同じであるため、誤って使っても伝わるが、小売りにおけるロイヤリティという言葉は、RとLの違いで全く異なる意味となる。フランチャイズ加盟店がノウハウ使用料等で本部に支払うのは、「Royalty」であり、一方の「Loyalty」は、忠誠を意味する別の言葉である。この後者を使ったロイヤリティマーケティングは、FSPの普及とともに、日本でも注目された顧客戦略の考え方である。しかしながら、FSPの言葉同様に、最近ではその注目度はそれほど高くないように思える。FSPは、顧客データを商売に活かすことで、より顧客の方を向いた商売の実現を目指す顧客戦略である、と言ってよいと思うのだが、あまりにロイヤリティの発想に重点を置き過ぎた結果、食品スーパーのお客の実態とはかけ離れたものとなりつつあるように思えてならない。その点を含めて、実際の顧客データを使いながら、ロイヤリティマーケティングの功罪とも言える部分について、今回は考えてみたい。

FSPのキーは、優良顧客と差別化

FSPでキーとなるお客は、優良顧客と呼ばれる購買金額が高いお客のことである。全体のお客における構成比は低いものの、購買金額の構成比では高い優良顧客の維持、拡大を図ることで、安定した売上の確保を実現しようというわけだ。対して、購買金額の低い顧客は、チェリーピッカー(注①)と呼ばれるグループを含め、特別なアプローチの対象とはしないことが原則である。いわゆるお客の差別化である。この考え方のベースにあるものが、ロイヤリティマーケティングと呼ばれるものなのである。優良顧客と位置付けられるお客は、ロイヤリティが高い顧客とも表現される。したがって、それが高いということは、当然、店への忠誠度が高いということになるはずだが、果たしてそうだろうか。

ロイヤルマーケティングの発祥とも言われるホテル業界や航空会社とは、その顧客の利用実態が大幅に異なる食品スーパーに、その思想をそのまま持ち込んだところに、最初から無理があったのではないだろうか。

 

※注①:チェリーピッカー:店の特売品ばかりを狙って購買するお客のこと。結果、そのお客の購買金額、粗利金額ともに極めて少なく、店への貢献度は低いものとなる。

英語ではbargain-hunter(バーゲンハンター)。

"ロイヤリティマーケティングの功罪" table of contents

  1. ロイヤリティマーケティングの功罪
  2. 優良顧客のロイヤリティは本当に高いのか?
  3. 主婦にとっての普段の買い物の位置付けとは?
  4. 現状維持が基準、その変化は、大きなアラームとなる