小売の新しいカテゴリー創造を科学する

新しいカテゴリーの創造、これは小売りに課せられた使命のひとつだ。小売各社における棚割は、その小売りの商売の基本コンセプトの表現であり、カテゴリーの組み合わせで出来上がっている。そこで、メーカとは異なる小売りにおけるカテゴリーの創造について、事例から科学してみたい。

"小売の新しいカテゴリー創造を科学する" table of contents

  1. 小売の新しいカテゴリー創造を科学する
  2. ドレッシングよりもマヨネーズのヘビーユーザーの方がディップソースに関心がある?
  3. カレーソースは、新カテゴリー構築への2回目の挑戦?

新しいカテゴリーの創造、これは小売りに課せられた使命のひとつだ

メーカーは新商品を開発し続けることがその使命のひとつだ。小売りはどうか。小売りの使命のひとつは、新しいカテゴリーを創造し続けることではないだろうか。何故なら小売各社における棚割は、その小売りの商売の基本コンセプトの表現であり、それはひとつのメーカーだけでは到底作れないカテゴリーの組み合わせで出来上がっているからだ(現実には、メーカー側からの提案に基づく部分が多いにしても)。

そこで今回は、新カテゴリー創造への取り組みにスポットをあて、顧客データを使ってその検証を試みた事例のいくつかをご紹介したい。

その前に新カテゴリーについてまず整理してみよう。筆者は、新カテゴリーの創造は二つのパターンに分けることが出来ると考えている。ひとつは、カテゴリーそのものが今までにないものである。例えば以前紹介したヤオコーの東大和店のディップソースや、手作りの和菓子の棚割り等がこれに当たる。もうひとつは既存カテゴリーではあるが、商品の組み合わせや構成、隣接するカテゴリーの配置等が、今までにない新しい発想により再構築されたものである。イオン幕張新都心店のパスタ、イタリアンの棚割りや、2013年の9月にオープンしたいなげや下石神井店のドレッシング売り場の棚割り等がこれに当たるが、まずは後者に着目することから始めたい。

食のシーンに基づき、その関連商品を集約展開、再配置による新カテゴリー

新しいカテゴリーの創造、これは小売りに課せられた使命のひとつだ図表1

図表① ドレッシングを中心に、その関連商品を集約した売り場(いなげや下石神井店) ※2013年9月視察図表①は、そのおおまかなゴンドラ配置である。注目したいのは、ゴンドラ5本を使ったドレッシングの棚割りである。上段から2段目まではドレッシングではなく、その関連商品を並べているのだ。海草サラダやサラダスパ、クルトンやビッツ等のトッピング商材や、野菜以外でのサラダ素材等が、5本の上段全てを使って配置されている。この5連のドレッシングのゴンドラに隣接するのは、コーンを中心としたホタテ、カニなどの缶詰類である。サラダクラブがその上段に並んでいる。ツナを中心にしたピクルスやビーンズなどの缶詰類がその横に続き、その上段には、瓶のザワークラウト、ピクルス類が並ぶ。ちなみにここにある缶詰は、缶詰のコーナーには陳列されていない(下石神井店では、基本的に缶詰は、食のシーン別に売り場に分散配置されている)。更に缶詰の横には、マヨネーズのゴンドラが隣接する。新カテゴリーであるディップソースは、その横のゴンドラ上段に集約され、その下段には、タルタルソースが並んでいる。もうおわかりのように、中通路の片面10本のゴンドラすべてが、サラダを食べるという食のシーンに基づき、その関連商材を集約展開した売り場になっているのである。新しい発想で既存カテゴリーを再配置した格好の事例と言えそうだ。

ここで図表②のコーン缶とサラダクラブ、それぞれをキーにした同時購買商品のリストを見ていただきたい。

図表②-1 コーン缶との同時購買
順位 商品名 リフト値(※注①)降順
1 サラダクラブ うずら卵水煮 35.39
2 サラダクラブ チキンささみ 33.48
3 うずら卵水煮 32.97
4 ひじき缶 32.23
5 根菜ミックス 31.98
6 ほたて(フレーク) 30.80
7 ひじきと大豆 缶 29.47
8 マッシュルームホール  缶 28.90
9 KK国産マッシュルーム  缶 28.79
10 スパムランチョンミート レギュラー 28.71
11 サラダクラブ 5種のビーンズ(北海道産) 27.69
12 マッシュルームホール  缶 27.66
13 サラダクラブ サラダビーンズ ミックス 26.73
14 あさり 25.91
15 サラダクラブ マッシュルーム(ホール) 25.77
16 毎日サラダ ミックスビーンズ 25.76
17 食塩無添加ミックスビーンズ 25.50
18 ミックスビーンズ 25.26
19 マッシュルームスライス 24.46
20 食塩無添加 じゃがいも 23.62
図表②-2 サラダクラブとの同時購買
順位 商品名 リフト値降順
1 根菜ミックス 缶 459.93
2 オーガニック ひよこ豆 缶 213.29
3 オーガニック 大豆 缶 197.97
4 ほたて(フレーク) 缶 169.44
5 サラダ ミックスビーンズ 缶 136.19
6 あさり 缶 131.37
7 レッドキドニー 缶 110.49
8 ひじきと大豆 かつお厚削り入 缶 100.97
9 ブラックオリーブ(スライス) 缶 100.86
10 しっとりひじき 缶 97.93
11 ガルバンゾ(ひよこ豆) 缶 94.41
12 ツナフレーク塩分・オイル無添加 缶 90.23
13 黒木くらげ 87.80
14 ピクルス(ガーキン) 缶 84.63
15 ミックスビーンズ 缶 83.87
16 サラダパリパリちりめん 83.61
17 パセリ 72.36
18 伊勢ひじき 72.36
19 マコーミック フライドオニオン 71.63
20 ベーコンフレーバードビッツ 70.22

ある小売りチェーンの事例である。灰色で示された部分の商品は、サラダとの関連が薄い商品であり、それは著しく少ない。これを見る限り、どちらの商品をキーにした場合でも、ほとんどが下石神井店の集約展開で並ぶサラダ関連商品で占められていることがわかる。このデータは、当然下石神井店のような売り場のデータではないが、缶詰など、売場の隣接要因で同時購買として出てきた商品もあるだろう。しかしそれが集約展開を否定することにはならない。隣接していても同時購買の相関が低ければ、ここまでデータが関連商品で埋め尽くされることはないからだ。

※注①:リフト値 関連購買の傾向を表わした比率で、その値が高いほど同時購買する確率が高いことを示している。

"小売の新しいカテゴリー創造を科学する" table of contents

  1. 小売の新しいカテゴリー創造を科学する
  2. ドレッシングよりもマヨネーズのヘビーユーザーの方がディップソースに関心がある?
  3. カレーソースは、新カテゴリー構築への2回目の挑戦?