年末に浮気をする常連客はいない?

年末のスーパーはカニや、和牛、マグロのトロなどの御馳走メニューが並ぶ。
お客は年末商材も普段の買い物によく利用している店で買う傾向があり、年末のお客の動向が、その店の1年間の評価を表していると言われているが、本当だろうか。今回はその通説について購買者の実態について調査、考察してみる。

"年末に浮気をする常連客はいない?" table of contents

  1. 年末に浮気をする常連客はいない?
  2. 3日に1回の高い来店頻度のお客が年末商材を購買している
  3. 年末の3日間も、約半数近くのお客が入れ替わっている

年末のお客さまの動向はスーパーの通信簿?

年末になると、どこのスーパーにおいても、必ずと言ってよいほど、BGMにはベートーベンの第九が流されている。条件反射のように、それを聞いて年末を意識するお客も多いはずだ。年末に、各地で200を超すといわれる第九のコンサートが開かれるのは、日本特有の現象のようだが、このコンサート、普段からのクラシックファンはあまり足を運ばないものらしい。クラシックをほとんど聴かない人でも、年末の第九のコンサートにだけは行ったことがあるという人は少なくないのだが、熱心なクラシックファンにとっては、どうもそれが馴染めないものであるようだ。同じファンで埋め尽くされた普段の演奏会場とは異なった雰囲気に、居心地の悪い思いをするのかも知れない。

そんな第九を、年末の定番BGMとして流し続ける食品スーパーはどうだろう。実は年末の第九のコンサートとは逆に、お店のファンとも言える常連客が押し掛けるのが、スーパーの年末なのである。お客は年末商材も、普段の買い物によく利用している店で買う傾向があり、年末のお客の動向が、その店の1年間の評価を表していると言われているのだ。

スーパーで働く人であれば、そのことを一度は耳にしたことがあるだろう。ただしそれがどこまで事実であるのかは、あまり検証されていないのではないだろうか。以前にも紹介したいくつかの事例のように、顧客の購買実態は、売り手側の予測とは大幅に異なっている場合が多かった。顧客の入れ替わりは、昨年と比較して、予想以上に激しく起こっていた事実もそのひとつであった。そこで今回は、12月度の後半以降に品揃えされる年末商材における、購買者の実態について調査してみた。

前月の上位客が、日々安定して2割を維持している

まずは年末のある店における上位のお客の割合を、12月度の日別時系列で調査した結果からご紹介しよう。上位とは、利用頻度の高いお客のことで、前月の11月度に、3万円以上購買、来店回数10回(3日に1回来店)以上の実績のあったグループを設定した。

図表①11月度上位客の12月度日別構成比(%)

図表①に示されている棒グラフの緑色部分が、12月度における日別の11月度上位グループの割合である。関東地区のチェーン全店の実績であるが、これを見る限り、ほとんど変動がなくほぼ一定に、2割前後の割合を占めていることがわかる(この2割で作る売上の構成比は6割を超える)。この割合は、29日以降の年末の3日間においても、ほとんど変化が見られない。一見、年末に上位グループが押し掛けるような傾向ではないと思われるが、その一方で、上位グループが、年末だけはどこか他の店で購買している実態ではないことも物語っている。

図表②お客の日別年代別構成比※12月度(%)

ちなみに、図表②は、同じ12月の時系列での年代別構成比を表しているが、年末3日間はシニア層(60代以上)の構成比が上がっていることが示されている。上位グループだけの年代構成比で見ると、シニア層で占められている割合が、日々ほぼ5割を維持し、もともとシニア層の構成比が高いグループであることを示している(図表③)。

図表③上位客の日別年代別構成比※12月度(%)

年末3日間では、更にその構成比は高くなり、いつもの店で年末の買い物を済ます傾向は、シニア層ほど強いことが窺えるデータとなっている。

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  2. 3日に1回の高い来店頻度のお客が年末商材を購買している
  3. 年末の3日間も、約半数近くのお客が入れ替わっている