顧客の「囲い込み」は、本当に有効な戦略か?

小売りにとって顧客を囲い込み、顧客満足を維持向上させることは重要な戦略と思われているが、かなりハードルの高いことだ。それを母の日のカーネーションや鰻の蒲焼等の購買データから検証してみる。また、データが物語るリピーター作りの難しさとその要因について解説する。

"顧客の「囲い込み」は、本当に有効な戦略か?" table of contents

  1. 顧客の「囲い込み」は、本当に有効な戦略か?
  2. 母の日のカーネーションは同じ店では買わない?
  3. ほとんど変化が見られない顧客の「囲い込み」、維持率
  4. 維持率の高い店は、低い店に比べて何か優位性があるのだろうか?

顧客の「囲い込み」は、本当に有効な戦略か?

最近あの店は昔に比べて味が落ちた、という評価は、味で評判の飲食店に対して時々耳にする言葉である。しかしその逆に、美味しくなったという評価を聞くことは皆無に近いのではないだろうか。各店はそれなりの努力をしているに違いないが、顧客の評価には厳しいものがある。何故だろうか。実はCS(顧客満足)の世界での常識のひとつに、顧客満足度は必ず下がる、という法則がある。図表①を見ていただくとそれが理解できるはずだ。

図表①顧客満足度が必ず下がる実態を図式化

顧客満足度は、事前の期待値を上回ることで初めて充足されるものであり、充足された顧客満足度が、次回の期待値に入れ替わっていくことが、そこに図式化されている。満足した時点が、次回の事前の期待値になるということは、満足すればするほど更に期待値が高まっていくことを意味している。その繰り返しであれば、高い顧客満足度を維持していくには、相当の努力が求められるため、評価が下がる事例ばかりが多くなることも不思議ではない。

店の増加、業態の多様化に伴い、商圏の拡大が困難な環境にある店が多くを占める小売りの世界において、既存顧客の維持、すなわち「囲い込み」に重点を置く企業が多い。顧客満足は、そんな企業にとっての重要な「囲い込み」の要素となっている。しかし冒頭の飲食店の事例同様に、小売りにとっても、顧客満足を維持、あるいは高めていくことは、かなりハードルの高いことなのである。

そこで今回は、顧客データを使って、小売りにおける顧客の「囲い込み」、顧客の維持の実態を明らかにし、それが本来意味するもの、その効果、狙いについて考えてみたい。想像していなかった意外な結果の数々は、これまでの認識を改めるに充分なものがあったが、まずはその辺りから見ていただきたい。

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  1. 顧客の「囲い込み」は、本当に有効な戦略か?
  2. 母の日のカーネーションは同じ店では買わない?
  3. ほとんど変化が見られない顧客の「囲い込み」、維持率
  4. 維持率の高い店は、低い店に比べて何か優位性があるのだろうか?