顧客データ分析の手法その2 トライアル・リピート分析

今回の「商売上手を科学する」は顧客データ分析の手法の紹介の第2弾として、トライアル・リピート分析をテーマにお客様の買い物を科学する。リピーターを増やすことは小売業にとってとても重要だが、それが優良顧客の育成につながっているかのチェックや分析手法をご紹介したい。

"顧客データ分析の手法その2 トライアル・リピート分析" table of contents

  1. 顧客データ分析の手法その2 トライアル・リピート分析
  2. 国産、こだわりの生鮮の年代別のリピート率はほぼ真逆に近い形となる
  3. 既存商品を評価する「分岐ポイント」とは
  4. 正規分布から上方に外れた商品は要チュック

トライアル・リピートを徹底して読み解く

リピーターは、集客のバロメーター、しかしリピーターが増えるだけの安売りは、投売りと同じだ!

 

「世の中には、私に必要のないものが、なんとたくさん売られていることだろう」。古代ギリシャの市場を見て、こんなことをつぶやいた人物がいた。ソクラテスである。もちろん、現代のように多種多様なものが市場に溢れている時代でもないだろうが、それでも哲人の目には多くの不要なものが売られているように映ったようだ。そんな彼が今の食品スーパーに並ぶ多種多様な品揃えを見たとしたら果たして何を思うだろうか。しかもその多くの商品に、繰り返し購買をするリピーターの存在が複数あるということを知ったとしたらどうだろう。哲人のリアクションを想像してみることも面白いが、今回は、リピーターを把握することで、商品評価につなげるトライアル・リピート分析の定石としての見方と、新たな視点に基づく活用手法について、少し掘り下げて紹介してみたい。

年代別にリピート率を捉えてみると…

トライアル・リピート分析において、最初のキーになるのはリピート率である。たとえひとつの商品であれ、その商品のリピート率が高いということは、リピートした同じ回数の来店があったことを意味している。メーカーと異なり、小売りにとっては、単品の売上、売数だけでなく、来店の動機付けとしての評価もすべき指標である。このリピート率をまず年代別に分けて捉えた事例から見てみよう。

実際に販売されている惣菜の事例である。

高いリピート率は、シニアが牽引している場合がほとんどであるという事実

惣菜の代表的なカテゴリーにおいて、複数のカテゴリーをみた(掲載は一事例のみ)が、どれも顕著な年代別な差異は見られなかった。どのカテゴリーも図表の左図のようなパターンとなったのだ。

図表1-1小パック除く惣菜の年代別リピート率
図表1-2 惣菜小パックのみの年代別リピート率

ところが、小パックのみ取り出してグループ化し、その年代別リピート率を見てみると、図表①の右図のように年代が高い層ほどリピート率が高くなっていることがわかった。20代と70代ではちょうど10%の差がある。実は年代別のトライアル・リピート分析の際に、この事例のように、シニアになるほど、リピート率が上がるカテゴリーが意外に多いことに気付いた。
そのいくつかの事例をひとつのグラフで表わしたものが図表の②である。

図表② 年代別リピート率

このように年代層があがるほど、リピート率も上がる右肩上がりのパターンが多いのには理由があるのだ。

図表③は、ある小売りチェーンを利用している顧客の年代別構成比と、ひとり当たりの年代別の来店回数(年間)を比較したグラフである。

 

図表3 年代別の購買客数構成比と一人あたり来店回数の比較グラフ(3社)

3社を比較して見たが、ほぼ同様の結果であった。これを見ると、構成比が最も高いのが40代で、50代、60代がそれに続く。ところがひとり当たりの来店回数を見ると、50代以上がほぼ同じくらいの頻度で高く、40代以下の層と比べて、差があることがわかる。シニア層は、それ以外の層と比較して、足繁く店に通い続ける人が多いということだろう。シニア層ほど、リピート率が顕著に高くなる商品(群)が多く見られるのには、この高い来店回数の影響が一要因としてあるのではないか。来店回数の多さは、リピートする機会の多さにもつながるからだ。

特に70代の層は、構成比そのものは50代、60代に比べて明らかに下がってしまうものの、来店回数にはほとんど変化がない。頻繁に来店するシニアに対して、飽きさせないように売り場を変化させることの重要さを物語るデータとも言えそうだ。

"顧客データ分析の手法その2 トライアル・リピート分析" table of contents

  1. 顧客データ分析の手法その2 トライアル・リピート分析
  2. 国産、こだわりの生鮮の年代別のリピート率はほぼ真逆に近い形となる
  3. 既存商品を評価する「分岐ポイント」とは
  4. 正規分布から上方に外れた商品は要チュック