【セミナーレポート】惣菜部門の最新トレンドと利益を生み出すデータ活用-後編- 「データ活用による課題へのアプローチ」
小売業の中でも成長を見せている惣菜部門では、コロナ禍を経て消費者のニーズが多様化する中、「即食」という新たな切り口で生まれ変わろうとしています。そこで、商品開発や製造体制の進化、データ活用による課題解決など、様々なチャレンジや変化の中で起こりうる課題についてセミナーを開催いたしました。
第一部の「惣菜の最新トレンド」についての記事はこちら↓↓
第二部:惣菜部門のリアルなデータに基づいた課題へのアプローチ
第一部では「惣菜から即食へ」をテーマに海蔵寺様より昨今の惣菜開発の変化や最新のトレンドについてお話しいただきました。
第二部では、データコム株式会社カスタマーサクセス室の能藤より、惣菜部門の課題であるロスや商品設計についてリアルなデータを用いて解説しました。
データから見えた惣菜部門の課題
POSデータを分析した結果、惣菜部門の一番大きな課題として浮かび上がったのが、SKU数の増加に伴うロス金額の増大です。各社とも半期で100SKUほど増やしている一方で、廃棄ロス金額は売上構成比の伸び以上に大きく上昇していました。SKUを増やすだけでなく、一つ一つの商品力を上げることの重要性が感じられる結果だと思います。
ロス率が高い巻物・寿司カテゴリー
その中でも、握り寿司、巻物、ちらし寿司のロス率の高さは特に気になりました。
消費者の購買行動を見ると、巻物やちらし寿司はお昼に売れるのに対し、にぎり寿司は夜に売れる傾向にあります。一番鮮度管理が難しい商品が遅い時間に売れるというのが、ロス率の高さに繋がっているようです。
寿司は人気のネタであるマグロなど鮮度管理が必要なものが多いので、売れる時間に合わせて前倒しで生産しなければいけません。でも人員配置の問題などから、どうしても仕掛けをしてしまい、それがロスに繋がることもあります。猛暑日が続く夏場では、生ネタの寿司は売りづらくなってくるので、去年は鰻の寿司やローストビーフ寿司など、ネタのバリエーションを増やしているところもありました。このように、商品設計の工夫が必要になってきます。
天候と売れ行きの分析の必要性
猛暑や天候への対策としては、店舗単位での細かな分析と対応も重要だと感じました。店内調理が主流である惣菜部門では特に、店舗ごとにゲリラ豪雨など局地的な天候の影響を把握し、天気予報と売上の関係を整理・分析することで、より的確な対応に繋がります。AIの活用も一つの選択肢かもしれません。
実際に昨年のスーパーマーケット協会のデータを見ると、7月、8月、9月は惣菜の売り上げが肉の売り上げを超えるほど高くなっています。ひとつはそれだけ料理離れが進んでいるということ、もうひとつは暑さを避けるために買い物の時間帯をずらしたり、近い店を選ぶ傾向が明らかに出ていました。
さらに、ゲリラ豪雨が局地的に発生する中で、晴れていても急にゲリラ豪雨が来て、夕方の売り上げが駄目になったりします。そのような状況はその店舗でしか分からないため、ウェザーニュースなどの天気予報を店舗単位で見て対応しないと、全体では上手くコントロールできません。
また、去年の気温がどの程度のときに、買い物の時間帯別の山がどう変わったのか、ゲリラ豪雨の影響を受けない店舗と受けた店舗での売れ行きの違いなど、天気予報と売上の関係を整理して分析すると、とても参考になると思います。惣菜の場合はまだインストアで作ることが多いので、店舗単位でのデータ分析が本当に重要になります。
2024年冬のトピック
12月~2月の天候の見通し(気象庁 寒候期予報の解説)によると、今冬の気温は全国的にほぼ平年並みとの予想がされています。
平年並みの寒さの中で、お客様に体を温めてもらうことを目的とした商品の訴求が考えられます。昨年好調だった、てんぷらやコロッケなどの揚げ物、焼き鳥などの焼き物類、麺類などのホットメニューは今冬も需要があると考えられます。
また、インバウンドの復調など人の移動も積極的な傾向があるため、感染症の流行も懸念されています。体を温めるホットメニューと同時に、ビタミンやミネラルを豊富に含む冬の根菜類や免疫力を高めるキノコ類を活用した滋養強壮に効果があるメニューの訴求も顧客の関心を高めるポイントになるのではないでしょうか。
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