コロナ禍の内食需要が後押し!拡大を続けるカテゴリーとは?

コロナ禍の影響で、小売業界は大きな変化を経験しています。
外出での外食支出が減少し、家で食事をする需要が急増したため、店舗の売上構造にも変化が生じました。外食と内食の支出額の変動は、どの食品カテゴリーが需要を取り込んでいるのか考えていきます。
今回は特に、値上げの影響で特定の食品カテゴリーが、どのように消費者の行動に影響を与えたかを中心に解説していきます。

コロナ禍が外食支出額に与えた影響

まずは図表Aの外食のデータから見ていきましょう。
1991年以降、あまり大きな変化を見せなかった外食の支出額が、2020年に大幅な下落を示していたことが分かります。
コロナ禍の影響で、外食を控える人がいかに増えていたかを物語っています。
しかしコロナ禍前の平常を取り戻し始めた2023年は、外食の支出額もほぼ回復したことが図表Aに示されています。

図表A 外食の支出額

※ 家計支出額について、1991年から33年間の時系列データ(2人以上世帯)を使用しています。

 

内食需要の増加と食品支出の変化

一方で、外食から内食へと需要が変化したことによる、恩恵を受けていた食品の支出額(外食除く)はどうなっているでしょうか。
図表Bには、外食がコロナ禍前の支出額に戻った後も、依然右肩上がりを維持していることが示されています。その要因の一つに、食品の値上げが影響していることは否めないでしょう。

図表B 外食除く食品

食卓の必需品で、値上げになったものの買わざるを得なかったものは、特価が常連だった「卵」です。
価格が上昇したことで、その支出額は過去33年間で最も高くなっていることがそれを裏付けています(図表C)。
エンゲル係数(2人以上世帯)が2000年以降最高となったという最近の報道もうなずけます。

図表C 卵

生鮮食品と内食需要の関係性

コロナ禍により内食需要が高まった20年以降、明らかに伸びていた食品のカテゴリーは何でしょうか。
内食需要が高まることで、それを取り込めたカテゴリーであることは当然ですが、元々過去からのトレンドが上昇傾向にあったものが、さらに勢いを増して伸びていたことも明らかです。
値上げの影響も含め、その勢いはコロナ禍後も続いています。
次回のBLOGでは、その実態を見ていきます。

 

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本記事は、スーパーマーケット専門情報誌「食品商業」にて弊社分析推進室の清原和明が連載しているものであり、株式会社アール・アイ・シー社の承認の上掲載しています。

出典:食品商業2024年2月号「200万人の顧客データが語る「こうすればもっと売れる!」第34回」

データアナリスト紹介
清原和明
1981年ダイエー入社。95年西明石店店長、98年九州SM営業本部北福岡ゾーンマネジャー、99年九州SM営業本部エリアマネジャー、2001年営業企画本部FSP推進部長、05年近畿販売本部営業部長に就任。08年消費経済研究所に出向し、常務取締役マーケティング担当就任。その後、ダイエー関東営業本部営業部長を経て、12年データコム分析推進室室長就任
掲載情報
こちらの記事は、食品商業5月号に掲載されています。
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