健康志向が高い人がこだわって購入する商品なら高額でもヘビーユーザーに?

人口減少が進む中、小売業においては、顧客一人当たりの効率を上げることが重要な課題となっています。
このブログでは、顧客一人当たりの買上金額や買上点数、来店頻度を向上させる重要性について解説します。
また、食用油カテゴリーの中で効率を上げる製品としてエゴマ油とアマニ油がどのように売上に貢献するかデータを交えてご紹介します。

こちらの記事は続編です。前回の記事はこちらから↓

さまざまな食用油の違いと種類

顧客一人当たりの効率改善の重要性

以前の記事でも記載していたように、人口減の時代には全年代から幅広く支持される商品が売上を確保するのに効果的ですが、もうひとつ効果的な要素があります。それは、顧客一人当たりの効率をあげる商品です。
その効率とは、一人当たりの買上金額や同買上点数、同来店頻度(回数)のいずれかの指標を指します。
なぜ、それらの商品が効果的かというと、人口減に伴いユニーク客数が減少する時代に、以前と同じ売上を維持するには、既存顧客の一人当たりの効率改善が不可欠だからです。
つまり、単品で見た場合、同じ目的で購買される商品であれば、一人当たりの買上金額や同買上点数などの指標がより高くなる商品の購買者が増えるほど、顧客一人当たりの効率も上がることになります。

食用油市場の変化とトレンド

食用油の場合、アマニ油とエゴマ油がその効率を上げる商品に該当します。
ここでは主な食用油の年代別一人当たりの買上点数(年間)と同金額を集計してみました。※注釈。
まず、大半の食用油に共通していることは、若い世代ほど、一人当たりの買上点数が少なくなっているということです。
これは若い世代ほどスーパーを利用する人自体が少ないことが影響しているのでしょう。
図表①は、5年毎に実施されている世帯主年代別購入先調査(総務省統計局の家計構造調査)の結果に基づき、
スーパー利用者の割合を記載したものです。そこでも若い世代の低さが目立っています。

図表① 世帯主年代別・SM利用者の割合 単位:%

しかしそれを差し引いても、年代が高くなるほど一人点数が顕著に上がり、若い世代とは大きな差が表れているのが、エゴマ油とアマニ油なのです。

図表② 主な食用油の1人当たり買上点数・年代別実績(年間) ※単位:個

 

図表③ 主な食用油の1人当たり買上金額・年代別実績(年間) ※単位:円

※注釈
ちなみにここで使用しているデータは、複数チェーンストアにおいて、デシル1とデシル2の2グループのもののみを集計しています。
デシルとは、10等分を意味しています。対象となる商品(群)の全購買者を、購買金額(ここでは点数)の降順に10の均等数グループに分けた際の、最上位グループがデシル1です。一般的なスーパーの場合、デシル1グループだけで全体の4割前後の売上を占め、デシル2グループまで合わせれば、およそ6割前後の売上を占めることになります。それ以外のグループのデータを入れると、買い回りの割合が高い顧客が大半を占めることになるため、対象の企業、店舗を主力に購買している顧客に絞り込むための手法のひとつです。

健康志向の顧客がリピートするエゴマ油とアマニ油

エゴマ油とアマニ油は健康志向の高い食用油の中にあって、一人当たりの買上点数は1位、2位の位置付けにあります。このエゴマ油とアマニ油はほとんどの人になじみがあるEPA、DHAを多く含んでいます。EPA、DHAは、血栓の予防や中性脂肪の減少等、生活習慣病の予防に効果があるとされる必須脂肪酸の一種です。
エゴマ油もアマニ油も価格が高めな為、一人当たりの買上金額が上位にあがります。
しかし同時に一人当たりの買上点数も最上位にあるのは、単価が高いだけではなく、リピーターが多い為、売り手側にとって貴重な商品なのです。
健康維持を謳う話題の成分が複数ある中、とりわけ人気が高いEPA、DHAに関心がある人は、健康志向のこだわりがかなり強いと見えます。

実はそれを裏付ける少し面白いデータがあるので次回の記事でご紹介します。

顧客データ分析ソフト「Customer Journal」とは?

Customer Journalは、顧客の変化を「見える化」できるシステムです。
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本記事は、スーパーマーケット専門情報誌「食品商業」にて弊社分析推進室の清原和明が連載しているものであり、株式会社アール・アイ・シー社の承認の上掲載しています。

出典:食品商業2024年2月号「200万人の顧客データが語る「こうすればもっと売れる!」第34回」

データアナリスト紹介
清原和明
1981年ダイエー入社。95年西明石店店長、98年九州SM営業本部北福岡ゾーンマネジャー、99年九州SM営業本部エリアマネジャー、2001年営業企画本部FSP推進部長、05年近畿販売本部営業部長に就任。08年消費経済研究所に出向し、常務取締役マーケティング担当就任。その後、ダイエー関東営業本部営業部長を経て、12年データコム分析推進室室長就任
掲載情報
こちらの記事は、食品商業4月号に掲載されています。
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