年代別購買動向の変化:極小容量缶とクラフトビールの購買傾向を徹底分析
商品の規格や特性による顧客層の変化に悩んでいませんか?消費者動向を理解し、効果的な品揃えとマーケティング戦略の見直しをしていきましょう。消費者の年代別購買割合に関するデータを元に、実際のトレンドを詳しく解説していきます。
年代別購買者割合の劇的変化 – ビールと新ジャンルの事例
商品の規格や特性別にグルーピングすることで、購買者の年代別割合が劇的に変化することがあります。その典型的な例が、図表②に示されているビールや新ジャンルの事例です。
ここでは、容量別、本数別、機能別などのキーに基づくいくつかのグループを比較しています。各グループは、全購買者とヘビーユーザー(注❶)に限定した2つのグループに分かれています。
※注❶ ある商品(群)を頻繁に、あるいは大量に購買する人を指すが、明確な基準はなく、ここではデシル1のグループをヘビーユーザーとして捉えている。デシルとは10等分を意味し、対象となる商品(群)の全購買者を買上点数(金額でも可)の降順に10の均等数グループに分けた際の最上位グループがデシル1である。
シニア層の支持を集める極小容量缶 – その理由と今後の展望
60代以降(シニア)の年代をキーにした降順で示されていますが、一見して変化の幅が極めて大きいことがわかるはずです。シニアの割合が最も高いのは、135㎖の極小容量缶です。過去に何度もその事実を紹介してきましたが、全購買者で65%、ヘビーユーザーでは8割を超える極めて高い割合は、シニアの支持がより一層強固になっていることを示しているようです。適量の飲酒は百薬の長と信じていたシニアが多かったはずですが、最近ではわずかなアルコール摂取量でも健康への影響が懸念される新たな知見が紹介される中で、飲酒量を少なめにするシニアが今後増えることも予想されます。そのため、改めて極小容量缶の品揃えについて見直すきっかけとすべきでしょう。
若い世代に人気のクラフトビール – 価格帯と購買傾向の分析
そんな極小容量缶とは対照的に、今回注目するクラフトビールは、年代別の購買割合が真逆です。50代以下の割合は、全購買者、ヘビーユーザー共にほぼ7割に及んでいます。一般的なスーパーマーケット(SM)では、過去にクラフトビールが品揃えされることはあまりなかったかもしれませんが、最近では多段の冷ケース内でコーナー化している店舗も少なくありません。こだわりの商品が多い分、価格も高めで、プライスゾーン(価格の幅)はかなり広いです。通常のビールの2倍以上の高額商品もあるため、若い世代よりもシニアの割合が高いと想像してしまいますが、実際は図表に示された通り、その逆なのです。
価格帯別にクラフトビールの年代別割合を示した図表③には、価格帯が上がるほど、若い世代(50代以下)の割合が増えていることが示されています。晩酌のように高い頻度で飲むわけではなく、たまに飲むビールとして、少し奮発してこだわりの商品を試したり、飲んだことのない商品を選ぶという、最近の若い世代の飲酒に対する向き合い方がうかがえます。
次回はそのことを裏付けるもう一つのデータとして、購買品目数を紹介したいと思いますが、その前に購買頻度が高い商品について、ご紹介します。
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Customer Journalは、顧客の変化を「見える化」できるシステムです。
個店ごと・顧客ごとの購買状況を分析でき、購買金額の変化が分かります。
また、商品の支持年代層やリピート・同時購買といった購買傾向も分かるため、商品の特性を把握することもできます。
会員の住所情報と購買情報を組み合わせ、商圏の購買力の分析なども可能ですので、
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本記事は、スーパーマーケット専門情報誌「食品商業」にて弊社分析推進室の清原和明が連載しているものであり、株式会社アール・アイ・シー社の承認の上掲載しています。
出典:食品商業2024年6月号「200万人の顧客データが語る「こうすればもっと売れる!」第38回」