SMの顧客における3つの”ない”に着目!部門別の”ない”は一番重く受け止めるべき”ない”?
スーパーマーケットの売場で顧客の満足度を高めるためには、商品や販促の見直しが欠かせません。特に、顧客の購買データを分析すると、5人に1人が複数の未購買部門があるという現状が明らかになりました。この「未購買部門」は、特定の部門での販促や品揃えが顧客のニーズに応えることで改善の可能性があります。今回はそんな購買部門における”ない”についてデータを見ていきます。
5人に1人の割合で未購買部門が複数ある!?
食品を野菜、果物、水産、畜産、惣菜、日配、加工食品の7大部門に分類した時に、いずれかの部門に購買実績がない、未購買部門数別の顧客の割合を調査しました。曜日別、部門別の時と同様に年に数回しかない顧客を除いて、性別、年代別に集計した図表⑥を見てみます。
午前中に購買のない顧客を無視することはできない?
まず男女計で、2部門以上、複数部門での未購買がある顧客の割合が、2割近い17.2%、およそ5人に1人という実態に着目すべきでしょう。この値は、一定量購買がある顧客を対象に集計した数値だけに、無視できるほど低いものではないはずです。
これを性別、年代別に見ると、男性の複数部門未購買の割合は全年代で2割を超え、どの年代においても女性より高いことが分かります。
その要因は女性の場合、各世帯の家計を担う主婦層を含むことから、食品の購買部門が男性より広がり、結果、女性の未購買が少なめになるためだと考えられます。なので、女性顧客の割合が高い方が、店にとって有利だということが言えそうですが、男女共に伸びしろがある点に大きな違いはありません。
特定部門の購買における”ない”は売手側に起因する
この最後の”ない”を含め、これまで①特定の時間帯、②特定の曜日、③特定の部門(大分類)に実績がない、3つの”ない”に着目してきましたが、重要なことは、この3大”ない”の最初の2つと、特定部門の”ない”である最後の1つには、決定的な違いがあるということです。
その違いとは、最初の2つの”ない”は主に買い手側に起因するものですが、最後の1つの”ない”は主に売り手側に起因するものであるという点です。例えば、前回もご紹介した顧客の行動の4つの軸を振り返ると、特定の曜日の購買を改善する手段を見いだすことは、残念ながら現実的に厳しいと言わざるを得ません。しかし③の特定の部門の”ない”だけは、性質が全く異なります。なぜなら、さまざまな販促手段を講じて集客するまでもなく、すでに十分な来店実績があるにもかかわらず、特定部門の購買がないということは、そこにインストアにおける課題があることを裏付けているからです。
顧客一人一人の”ない”を改善することで、顧客の維持を図る
似たような分析手法で、顧客の購買部門数をスコア化するカテゴリースコアは、1人当たりの未購買部門の割合を全顧客対象に集計した指標でしたが、今回は家計支出額で絞り込んだ顧客を対象としているだけに、実態はより深刻に受け止める必要があります。
顧客を維持していくためには、顧客一人一人の”ない”を地道につぶしていくことが一番の近道だと考えられるため、顧客データが見られる環境であれば、ぜひ自店の実態を調査してみてください。
顧客データ分析ソフト「Customer Journal」とは?
Customer Journalは、顧客の変化を「見える化」できるシステムです。
個店ごと・顧客ごとの購買状況を分析でき、購買金額の変化が分かります。
また、商品の支持年代層やリピート・同時購買といった購買傾向も分かるため、商品の特性を把握することもできます。
会員の住所情報と購買情報を組み合わせ、商圏の購買力の分析なども可能ですので、
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本記事は、スーパーマーケット専門情報誌「食品商業」にて弊社分析推進室の清原和明が連載しているものであり、株式会社アール・アイ・シー社の承認の上掲載しています。
出典:食品商業2024年8月号「200万人の顧客データが語る「こうすればもっと売れる!」第40回」
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