同時購入での果物の特性と消費行動から見えるトレンドについて

果物は野菜とは違い、料理などに使用する際に他の食材を組み合わせる機会が少なく、同時購入の際には独自の動向が見られます。組み合わせて使用する機会が少ないということで、お菓子などのように同じエリアにある商品が同時購入の際に優位になることも多々見られます。果物と野菜、その異なる購買特性に焦点を当てて消費行動の裏側に迫る興味深いデータをご紹介します。

同時購買と果物の特徴

果物は、青果物でありながら野菜と異なる点があります。その異なる点とは、同時購入の際に、商品同士に強い相関関係があまり見られないことです。

果物は、料理の際に他の食材と組み合わせて使用されることが少なく、肉や魚のように多くの調味料を必要とすることもありません。
そのため、お菓子のように、同じ売り場や近くにある買い物の動線上にあるような商品ばかりが、同時に購入されやすい傾向があります。

同時購入される例としても、現状イチゴと練乳など一部の商品に留まってしまっているのです。

しかし、人をバスケットとして捉え、特定の期間内で商品(A)と(B)を購入した人の比率に焦点を当てた「期間併売」の視点では、同時購入とは異なる顧客の好みが見られることがあります。

 

期間併売における果物の嗜好と組み合わせの影響

 

そこで、○人に1人という割合で表される購買確率が高い上位20商品の中で、その割合が最も高い果物や購買確率の分布範囲を一覧にまとめました。

この期間併売の場合、上位20の商品には果物以外の部門やカテゴリーからは、ほとんど商品はランクインしませんでした。

同時購入の場合と同様に、売り場が同じ場所にあることで併売確率が高まることは変わりませんが、果物に対する顧客の好みが明確に表れていることが、同時購入との違いを示しています。

 

 

 

類似種の果物の上位占有と季節の影響

実際の例に表すと、メロンとマンゴー、アメリカンチェリーとさくらんぼなど、似たような種類の果物が複数の上位を占めています。

また四季毎の旬の果物では、国産の季節の果物が上位に来ることが多く、カットフルーツでは、カットされたメロンが特に人気であり、いちごや少量のカットスイカも上位に位置しています。
これは、手軽で簡単な食事を好む人々に支持されていることを示していると言えるのではないでしょうか。

 

 

ヨーグルトと果物の組み合わせから見えるトレンド

さらに果物以外の他のカテゴリーとの稀有な組み合わせ例として、ヨーグルトが挙げられます。
キーウィやブルーベリーは、ヨーグルトと一緒に食べることでビタミンやミネラルを摂取できるため、特に女性に人気があります。ヨーグルトとバナナの組み合わせも相性が非常に良く、朝食におすすめです。
ちなみにヨーグルトの期間併売では、フルーツソースやジュレ等が上位を占めていますが、僅差でランクインするものが、ブルーベリー、キーウィです。

購買確率では、1.1人に1人の割合と、果物をあまり食べないと言われている若年層でもヨーグルトと組み合わせることで、ビタミン、ミネラル等の栄養素を手軽に取っていたり、果物の美容効果を狙って、朝食に果物を食べることで美容や健康に気を配る方は多いのではないでしょうか。

 

 

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データアナリスト紹介

清原和明
1981年ダイエー入社。95年西明石店店長、98年九州SM営業本部北福岡ゾーンマネジャー、99年九州SM営業本部エリアマネジャー、2001年営業企画本部FSP推進部長、05年近畿販売本部営業部長に就任。08年消費経済研究所に出向し、常務取締役マーケティング担当就任。その後、ダイエー関東営業本部営業部長を経て、12年データコム分析推進室室長就任

 

こちらの記事は、食品商業9月号に掲載されています。

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本記事は、スーパーマーケット専門情報誌「食品商業」にて弊社分析推進室の清原和明が連載しているものであり、株式会社アール・アイ・シー社の承認の上掲載しています。
出典:食品商業2023年9月号「200万人の顧客データが語る「こうすればもっと売れる!」第29回」