「リテールメディアの展望」グローバル市場と日本の挑戦についてVOL.2
小売企業が保有する消費者の購買データを活用し、広告を効果的に配信する新たなビジネスモデル「リテールメディア」。コロナ禍でECといったオンラインビジネスが急速に発展したことで、リテールメディア市場も拡大しつつあります。世界規模で見たとき、リテールメディアはどう活用されているのか。データコム株式会社 取締役経営推進部部長の小野寺裕貴にインタビューしました。
本ブログは続編となりますので、VOL.1の記事を閲覧前の方は下記バナーをクリックしてご覧ください。
海外企業のリテールメディア活用事例
―海外のリテールメディアの活用事例を教えてください
小野寺:ではまず、ウォルマートから。同社は“打倒Amazon”に向け、EC事業の買収を行っています。16年より非食品分野のEC成長を加速させ、オムニチャネル型の企業としての強みを最大限発揮し、25年までにメディア売上100億ドルを目指しています。
具体的な取り組みとして、全米約5,000店舗に計17万台のディスプレーを設置し、実店舗の広告スペースを拡張。また、ウォルマート以外の媒体にも配信可能なプラットフォームを構築した他、広告主へのデータ共有の強化などを掲げています。
ウォルマートのサイトやアプリは、Amazon同様に検索に紐づく広告が上位に表示される仕組みを採用しています。
購買までの操作が楽で、3〜4回クリック(タップ)するだけで家に届く、簡単なインターフェースが特徴です。最近見たもの、日常購買しているものなどもすぐに探せる、簡便な購買体験を提供しています。
<ウォルマートのECサイト>
―Amazonはどういった事例がありますか?
小野寺:アメリカ・ロサンゼルスにある、アパレルショップ「Amazon Style」は、実店舗のよさである実物の確認と、ECのよさである在庫チェック・パーソナライズ推奨を兼ね備えた店舗です。
店内で気になる商品のQRコードをスキャンし、アプリ(Amazon store)から試着依頼を送信すると、試着の準備がスタートします。
裏ではスタッフが物流倉庫から商品をそろえ、試着ルームに用意。5分ほど経つと、試着室には試着希望をした商品の他に推奨商品も置かれます。
それらを着て、室内のモニターで商品を評価すると、評価に応じて推奨品が変化していく。それを何度か繰り返すと、だんだんと自分の好みに近づいていきます。
オンライン特有のレーティング評価と同じ体験を、リアルでも行えるという新しい購買体験を提案しているというわけです。
<Amazon Styleの事例>
―現在注目する、新しいサービスはありますか?
小野寺:イスラエルのベンチャー企業が開発した「Waze(ウェイズ)」というアプリですね。
Googleが11億ドルで買収したほどで、新たな屋外広告のあり方を築いたアプリといえます。
基盤はコミュニティ型地図であり、利用者が渋滞や事故などの情報を更新できるというものです。
特徴は、近隣店舗に関する広告がポップアップで出てくる点。道中で立ち寄るきっかけにもなる、新しい広告手法だと思います。
リーズナブルな料金形態のため、小規模な小売店でも掲載ができる点も特徴ですね。
<Wazeのサービス>
取締役 経営推進部部長 小野寺裕貴
慶応義塾大学大学院卒。株式会社みずほ銀行での法人営業、
株式会社インテージでの事業開発・アライアンスを経て、データコムへ入社。
前職時より米国等のリテールトレンドの探求、発信を行っている。
こちらの記事は、販売革新9月号に掲載されています。
※外部サイト(Fujisan.co.jp)に遷移します。
本記事は、スーパーマーケット専門情報誌「販売革新」にて弊社経営推進部の小野寺裕貴が連載しているものであり、株式会社アール・アイ・シー社の承認の上掲載しています。
出典:販売革新2023年9月号
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