バスケット分析で、買上点数をあげる商品を探せ!

テーマである購買カテゴリーの広がりを実現する商品はどんな商品なのか。
今回の記事では、実際の商品の同時購買の例を3つ取り上げて、複数カテゴリーの購買につながる商品を見つけていきます。
そこから、同時購買カテゴリー数と売上の関係性にも触れ、買上点数をあげる売場づくりについても紹介します。
バスケット分析の手法をもう一度確認し、売場づくりへと活かしていきましょう。

本ブログは続編となりますので、前回の記事を閲覧前の方は下記バナーをクリックしてご覧ください。

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購買カテゴリーが広がるのは「レトルトカレー」ではなく「カレールー」

購買カテゴリーの広がりを確認する上で分かりやすい事例として、カレールーとレトルトカレーを取り上げます。
どちらの購買者の方がより多くのカテゴリーを購入しているのでしょうか。

バスケット分析を使って同時購買商品を比較してみます。

カレールーの場合、同じ加工食品部門の炒め玉ねぎ、チャツネ、カレー専用スパイスに加えて、
畜産部門の牛肉、豚肉、日配部門の福神漬け、青果部門のカレー用野菜セットなど、
様々な部門の商品が同時購買の上位に来ています。
一方のレトルトカレーでは、同じレトルトの丼が複数上位に入っており、同時購買カテゴリー数の違いは明らかです。

1人当たりの購買カテゴリーが広がるほど、買上点数も増える事から、カレールー購買者の方が売上も増えると推測されます。

この2商品の購買者がそれぞれ同じバスケットにいれた商品の点数と購買金額をしてみると、
カレールーの購買者の方が、1人当たりの平均買上点数で110%、同買上金額では121%と高くなっていました。

買上金額については牛豚肉の単価が高いことが、買上点数以上に差がついた要因と考えられます。

レトルトカレーとカレールーのバスケット分析

カップラーメンと袋ラーメンでも購買カテゴリー数に違いが生まれる

カップラーメンと袋ラーメンでも同様のことが言えます。

カップラーメンの同時購買商品が同じ麺類ばかりなのに対して、
袋ラーメンは、メンマ、うずら卵、焼豚、海苔、シーフード(冷凍)、ヤングコーンなど
複数のカテゴリーの商品が一緒に買われています。

その結果、袋ラーメン購買者の1人当たり買上点数はカップラーメン購買者の109%になっていました。

一般的にどのスーパーでもカップラーメンの方がよく売れるはずですが、
袋ラーメンが売れた方が売り手側は少し得をすることになります。

さらにもうひとつ例を挙げると、鍋料理に欠かせない白菜と季節果実の柿の比較も同様です。
白菜の同時購買商品は魚の切り身やしゃぶしゃぶ用の肉、葛切りやマロニー、つくねなどの複数カテゴリーの商品が上位に並びます。
一方、柿の同時購買商品は梨やりんごなどの同じ果物類ばかりで占められており、明らかに違いがでています。

以前の記事で、料理に使われる野菜が購買カテゴリーを増やすのに対して、
果物はそれだけで完結してしまうため、関連購買には不利だと紹介しました。
今回のレトルトカレーやカップラーメンのような即食の食品にも同じことが言えそうです。

カップラーメンと袋ラーメンのバスケット分析

買上点数を上げるには関連販売を促進する売場が欠かせない

同じカテゴリーの商品ばかりが同時購買の上位に並ぶのは、「売場が近いことによる同時購買」に他なりません。

関連購買商品が複数カテゴリーにわたる商品を購買すれば、
必然的に売場の移動距離が延び、長時間売場に滞在する可能性が高くなります。
売場での滞在時間が長くなるほど、買上点数が伸び、売上も上がることはデータでも実証されています。

つまり、買上点数を挙げるためには、できるだけ関連購買が促進されるような売場やテーマ性のある売場づくりが欠かせないということです。

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本記事は、スーパーマーケット専門情報誌「食品商業」にて弊社分析推進室の清原和明が連載しているものであり、株式会社アール・アイ・シー社の承認の上掲載しています。

出典:食品商業2023年12月号「200万人の顧客データが語る「こうすればもっと売れる!」第32回」

データアナリスト紹介
清原和明
1981年ダイエー入社。95年西明石店店長、98年九州SM営業本部北福岡ゾーンマネジャー、99年九州SM営業本部エリアマネジャー、2001年営業企画本部FSP推進部長、05年近畿販売本部営業部長に就任。08年消費経済研究所に出向し、常務取締役マーケティング担当就任。その後、ダイエー関東営業本部営業部長を経て、12年データコム分析推進室室長就任
掲載情報
こちらの記事は、食品商業12月号に掲載されています。
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