豚・牛・鶏・合いびき肉の同時購買パターン完全解析!スーパー売場戦略の新常識
豚ひき肉、牛ひき肉、鶏ひき肉、合いびき肉。同じ「ひき肉」でも、お客様が一緒に購入する商品は驚くほど違います。なぜ豚ひき肉では餃子関連商品が圧倒的に多く、牛ひき肉では意外にも単体での購入が少ないのでしょうか?
この記事では、ひき肉4種類それぞれの詳細な同時購買分析結果をもとに、売場作りで本当に効果的な関連販売戦略をお伝えします。読み終える頃には、「なぜあの店はひき肉の売上が良いのか」の答えが見つかり、明日からの売場レイアウトが劇的に変わるはずです。
豚ひき肉は餃子の絶対的エース!中華料理人気が売上を支える
図表②は、豚のひき肉の同時購買商品における、前述したやり方でのランキング上位20品目のリストです。2人にひとり以上の極めて高い割合で、キーとする豚のひき肉と同じバスケットに入っている商品は、ほとんどが餃子関連商品であることがわかります。
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図表② 豚ひき肉をキーにした同時購買商品
このような事例は、食卓に登場する頻度が高い、餃子のような人気メニューに、必要不可欠な商品である場合に限られます。豚のひき肉は、麻婆豆腐や、シューマイなどの中華系材料に必要な商品だけに、売上の割合も、ひき肉4種の中で抜きん出て高いスーパーが大半なのです。
合いびき肉は子どもが喜ぶハンバーグ専用!若い世代のトレンドメニューが狙い目
牛豚の合いびき肉(図表③)も、子供に人気のハンバーグの素を中心に、2人にひとり以上の高い割合の商品が並びます。キーマカレーの素、タコスの素、ミートソースの素など、若い世代に人気があるメニューの関連商品が目立ちます。豚のひき肉と合いびき肉は、それを使うメニューがすぐに頭に浮かぶため、この結果を見ずとも、関連販売商品の展開に、あまり頭を捻る必要はなさそうです。
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図表③ 牛豚の合いびき肉をキーにした同時購買商品
鶏ひき肉は意外に用途が限定的?つくねとそぼろが主戦場
では鶏のひき肉の場合はどうでしょうか。つくね用のスパイス、鶏そぼろの素、ガパオの素等の関連商品といったところが目に留まります(図表④)。タイ料理のガパオライスは、日本でも人気メニューとして存在感が増しつつありますが、豚のひき肉、合びき肉の事例ほどの人気メニューは見られません。
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図表④ 鶏のひき肉をキーにした同時購買商品
鍋に入れるつくね、弁当に使うそぼろ等、おなじみのメニューがあるものの、かぼちゃを使った和食の煮物など、比較的地味なメニューに使われることが多いようです。豚や合いびきほど、高い割合の同時購買商品が少ないのは、そんなところが要因かもしれません。
牛ひき肉は実は脇役!少量パックの品切れ防止が売上アップの鍵
しかし鶏のひき肉以上に、高い同時購買となる商品が見られないのが、意外にも牛のひき肉なのです。ハンバーグの素やハンバーグソースなど複数出て来るのは当然なのですが、それらの割合は、20人~50人にひとり程度の範囲に留まっています。
恐らく牛のひき肉だけでハンバーグを作る人が少ないからだと推測されます。それを裏付けるかのように、牛のひき肉の同時購買には、豚のひき肉が複数出てきます。その割合は、10人強にひとりと高めです。しかも目立つのは、その少容量のパックです。
ハンバーグの場合、牛と豚の割合は、7対3を黄金比とする説もあります。こだわりがある人であれば、合いびき肉ではなく、豚のひき肉と牛のひき肉を別々に買って、自分の好みの割合で混ぜ合わせることも想定されます。
そう考えれば、少容量の豚のひき肉が同時購買されていることも頷けるでしょう。特定の人気メニューとの結びつきが薄い牛のひき肉は、主役ではなく、いわゆる脇役としての存在感が強いと言えそうです。豚のひき肉で代用出来るメニューが多いことに加え、グラム単価の差も、牛のひき肉を脇役に回す大きな要因のひとつだと考えられます。
であれば、売り場では大パックの売り込みよりも、少量のパックの品切れ防止に、もっと目配りすべきだということになります。
まとめ
今回の分析結果から分かったことは、同じ「ひき肉」でも種類によって全く異なる購買パターンを持つということです。豚ひき肉なら餃子関連商品、合いびき肉ならハンバーグ関連商品を重点的に配置し、牛ひき肉では少量パックの品揃えに注力する。このような戦略的アプローチが、売上向上の近道となるでしょう。