スーパーの関連販売で成功する3つの法則とPOP作成術

「関連販売って、本当に効果があるの?」「何を並べれば売上が上がるのかわからない…」そんな悩みを抱える店舗責任者の方も多いのではないでしょうか。
ある調査で餃子の皮の同時購買データを詳しく分析したところ、驚くべき事実が判明しました。適切な関連商品を配置するだけで、客単価が大幅にアップし、お客様の満足度も向上したのです。しかも、その方法は決して複雑ではありません。
この記事では、アイカメラを使った400人の視線追跡調査データに基づき、関連販売を成功させる3つの法則と、効果的なPOP作成のコツを具体的にお伝えします。

餃子の皮の同時購買から見える関連販売の3つの法則

豚のひき肉の同時購買商品における最も高い関連メニューは餃子でした。そこで今度は、餃子の皮をキーにして、その同時購買商品を分析してみます。購買時の利便性以外に、次の3つのどれかを充足する商品が、関連販売すべき商品と位置づけられます。
その1つ目は、調理の手間の一部を減らせる商品であること(キッチンツールのような食品以外のものも含まれる)。餃子の皮を購入する人は、当然手作りをします。その際、野菜のみじん切りは手間がかかる上、キッチンに切り屑が散乱しがちです。そのプロセスだけを手抜きすることが可能なみじん切り野菜は、2人~3人程度にひとりの高い割合で購入されています。

餃子の皮をキーにした同時購買商品(1位~20位)

2つ目は、料理が一味違ったものになるか、更に旨くなるといった効果が、より簡単に叶う商品であること。餃子の素がこれに該当し、ほぼすべてのスーパーで関連販売されるほど定着しています。

初心者向け調味料の重要性と見落としがちな商品

餃子の皮をキーにした同時購買

最後の3つ目は、普段よく料理をする人には常識に近いものの、そうでない人の頭には浮かばない商品です。この3つ目に該当する商品は、同時購買のランキングで上位に来ないものも多く、この見極めは一番難易度が高いと言えます。注目すべきは、ランキングの200位以降に多数出てくるオイスターソースです。ラー油やラードを関連販売している店は少なくないが、オイスターソースはあまり見ません。
餃子のレシピには、ほとんどそれを使う記載があるが、知らない人もいるでしょう。餃子のタレといったような、誰もが認知している商品は、ほっといても関連で購買してくれる可能性は高いです。しかし餃子を手作りしたことがない人には、オイスターソースの買い忘れは有りがちなのではないでしょうか。料理の初心者が、キッチンに常備していないと思われる調味料こそ、コロナの中では関連販売すべき商品なのです。

効果的なPOP作成のポイント

関連販売を成功させるには、そのメリットが顧客にきちんと伝わることが肝要です。当然POPを使うわけだが、売り手側が思っているほど、POPは読まれていないということを認識しておかなければなりません。アイカメラを使った調査データによれば、POPに目がいっている時間は、わずかに2.5秒。一番長く顧客の視線を捉えているものは商品で、21.3秒。上段のパネルに至っては0.3秒と、ほとんど目に留まっていません。伝えたいことは、ワンフレーズに凝縮して、商品のすぐそばに添えないと見てくれないのが現実です。
またPOPの表現についても注意が必要です。「店長のおすすめ品」といった表現は、売らんがための下心と受け取られてしまいがち。それに対して、例えば「○○店青果売り場担当の主婦パート○○さんがおすすめ」となれば、買い手側に身近に感じられる人の言葉として信頼性が増します。きれいに印刷されたPOPよりも、手書きPOPの方により信頼感が湧くという声が多いことも重要なポイントです。これらのことを参考に、ぜひ売場で新たな関連販売に挑戦してみてください。

 

 

データアナリスト紹介
清原和明
1981年ダイエー入社。95年西明石店店長、98年九州SM営業本部北福岡ゾーンマネジャー、99年九州SM営業本部エリアマネジャー、2001年営業企画本部FSP推進部長、05年近畿販売本部営業部長に就任。08年消費経済研究所に出向し、常務取締役マーケティング担当就任。その後、ダイエー関東営業本部営業部長を経て、12年データコム分析推進室室長就任
掲載情報
こちらの記事は、食品商業2021年5月号に掲載されています。
※外部サイト(Fujisan.co.jp)に遷移します。本記事は、スーパーマーケット専門情報誌「食品商業」にて弊社分析推進室の清原和明が連載しているものであり、株式会社アール・アイ・シー社の承認の上掲載しています。 出典:販売革新2021年5月号
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