惣菜売場の“白ごはん”に注目!リピート率から見える改善のヒント

品ですが、実はその中に、他の商品を凌駕するリピート率を誇る「白ごはん」が存在します。一見シンプルで目立たない存在ながら、なぜこれほどまでに支持されているのでしょうか?そして、その高いリピート率の裏に潜む課題とは?今回は、惣菜売場の「白ごはん」に焦点を当て、その魅力と今後の可能性について探っていきます。

リピート率トップは「白ごはん」だった

図表①は、スーパーマーケットの惣菜部門における弁当(丼・重などを含む)で、リピート率の高い11品目を示しています(2020年実績)。各社ごとに個性的な商品が展開されている中でも、11品目はほぼ共通してリピート率が高い商品です。その中でも、間違いなく最上位ということが言えるのは「白ごはん」です。

図表①:惣菜部門米飯の弁当におけるリピートが高い上位11品目リストと白ごはんのリピート率

電子レンジ加熱が必要なパックごはんと異なり、そのまま食べられる惣菜売場の白ごはんは、リピート率50%近くを記録しています。さらに特筆すべきは、金額ベースのリピート率が90%近くに達していること。これは売上の大部分をリピーターが占めていることを示し、白ごはんが“ヘビーユーザー”に支えられていることが分かります。それだけ侮れない商品であるということです。

白ごはんのポテンシャルと乏しい選択肢

弁当や丼は、毎日同じものを買うには飽きが来るもの。しかし白ごはんは「主食」であるため、どの惣菜にも合わせやすく、自然と高リピート率になります。これは白ごはんがいかに多くの顧客にとって日常的なアイテムであるかを物語っています。しかし、この「定番中の定番」である白ごはんに、あまりにもバリエーションが少ないというのが実情です。

例えば、食パン売場には厚切り・薄切り、枚数違い、さらには糖質オフ・全粒粉など、健康志向に応じた多様な選択肢が揃っています。一方で、白ごはんは多くのスーパーで容量違いのパックがある程度で、実に画一的です。しかし、健康を意識してごはんに麦や雑穀を混ぜて食べている人は少なくありません。栄養補完の目的で、玄米や雑穀米を日常的に選ぶ人にとって、スーパーの現在の品揃えは物足りないのではないでしょうか。

健康志向にこたえる「主食の提案」を

もちろん、一部のスーパーでは雑穀米や玄米ごはんを複数展開している例もありますが、まだまだ一般的とは言えません。もし自店の惣菜売場を見渡して“白ごはん一択”の状態であれば、麦ごはんや雑穀ごはん、玄米ミックスなどのバリエーション展開を検討してみるべきでしょう。主食は毎日口にするもの。今後も高まるであろう「健康意識」に応える商品として、バリエーションごはんがリピート商品に成長する可能性は十分にあります。

まとめ

今回の分析から、白ごはんが惣菜売場で最も高いリピート率を誇る商品であることが明らかになりました。主食として毎日食べられる白ごはんは、リピーターによる売上が非常に多く、惣菜売場における“安定の主力商品”とも言えます。

しかし、その割にバリエーションが少ないのが現状です。麦ごはんや雑穀米など、健康ニーズに応じた商品展開が求められています。こうしたラインナップを増やすことで、さらなる需要拡大が期待できるでしょう。

次回は、この白ごはんを選ぶお客さまの購買行動に注目します。実は、白ごはんを買う人は弁当を買う人より「おかず惣菜」を多く買っている傾向があります。その行動から見える新たな商品提案の可能性を探っていきます。

データアナリスト紹介
清原和明
1981年ダイエー入社。95年西明石店店長、98年九州SM営業本部北福岡ゾーンマネジャー、99年九州SM営業本部エリアマネジャー、2001年営業企画本部FSP推進部長、05年近畿販売本部営業部長に就任。08年消費経済研究所に出向し、常務取締役マーケティング担当就任。その後、ダイエー関東営業本部営業部長を経て、12年データコム分析推進室室長就任
掲載情報
こちらの記事は、食品商業2021年4月号に掲載されています。
※外部サイト(Fujisan.co.jp)に遷移します。本記事は、スーパーマーケット専門情報誌「食品商業」にて弊社分析推進室の清原和明が連載しているものであり、株式会社アール・アイ・シー社の承認の上掲載しています。 出典:販売革新2021年4月号
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