食品の年代別のグループ分けは、5つのパターンがあれば充分!?
人口や世帯数が減少していく時代において、商品の各年代支持率を把握することは重要です。
しかし、ただ商品の購買者の年代別割合を見るだけでは、顧客数の多い40代~60代に偏ってしまい本当の支持率を見ることは難しくなります。
そこで、今回まとめた支持率を分析する5.1分類法を活用することで、商品の年代別購買率を全購買者の年代別割合と比較し、消費者の世代ごとの傾向に沿った支持率を反映します。
この記事では年代別の支持率を把握する5.1分類と、その活用方法についてご紹介します。
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各年代の支持率を表す5.1分類
年代別支持率という言葉の元となる考え方に5.1分類があります。
まずはその算出ロジックを説明していきます。
前提として、食品スーパーの主力顧客は40代から60代の割合が高いため、大半の商品の購買者も、その割合が高くなることは避けられません。
そこで、食品の全購買者の年代別割合(図表1の❶)を基準として、特定の商品、もしくはカテゴリー等の購買者の年代別割合(図表1の❷)が、全購買者の数値よりも高いか低いかを確認することで支持率を評価出来るようしたものが5.1分類です。
計算式は特定商品の年代別割合÷食品購買者総数の年代別割合(図表1の❸)です。
例として、無塩と有塩バターの事例で比較してみます。
各商品の購買者の年代別割合(図表2)では、無塩バターの方がシニアの支持が低いことはわかりますが、あくまで2商品の比較に過ぎないので、それだけで若い世代の支持が高いとは判断が出来ません。
5.1分類の算出ロジックを使うと(図表3)、支持率の高低を表す折れ線が100%より高いか低いかで、各年代の支持を判断することができます。結果として、製菓材料で使う頻度が高い無塩バターは、若い世代の支持が高いのだろうという推測もできます。
5.1分類に含まれる5つの型とは
これらのロジックをもとに、食品と一部の日用品・雑貨を含む数万品目の商品をすべてグラフ化し、共通した型のグラフをグルーピングすると、ほぼ4つの分類に集約されます。
その4つに該当しないその他の型を加えて支持率の評価指標となる5.1分類としました。
その5つの型とは、❶ヤング支持型、❷シニア支持型、➌ファミリー支持型、➍全年代支持型、❺その他の型です(図表4)。
その中で最も多い型は❶~➌の3分類で、商品ごとではなく、カテゴリー単位で見た場合、ほとんどのカテゴリーがこの3分類のいずれかに該当します。
この3つは、13歳未満・15歳~64歳・65歳以上人口推移における3年代の区分に近いものでもあります。
日配の白物に代表される➍の全年代支持型は、少ない型ではあるものの、今後の理想形として極めて重要な位置付けの型になります。
なぜなら、人口、世帯数が縮小していく時代には、意図したものや、商品特性上必然と言えるもの以外、全年代に支持される商品の方が、特定年代に支持が偏ったものよりも有利となるからです。
なので、ヤング支持型の場合は、右肩下がりの部分が上昇することで、全年代支持型に近付きますし、シニア支持型の場合、その逆パターンで、全年代支持型に近付くことが、目指すべき方向性ということになります。
以上の4分類が基本であり、❺のその他の型は、それを更に細分化すれば、いくつかの型を特定することはできますが、限られた一部であるため原則一括りとして考えます。
ここまでの5つの分類に加え、各型において、よりその特性が表れているものを、5つに共通する突出型として捉えて、それを0.1と表現して5.1分類となります。
長い目で見て年代別の支持率を確認することが重要
カテゴリーで見た場合、0.1に含まれる突出型の商品の割合が高いほど、特性がより顕著に表れることになるわけですが、
少しややこしくなるため、今回はあくまで考え方に留めて5.1分類の紹介としました。
ちなみにこの分類は基本的には食品を前提にしているものであり、それ以外の全部門を対象とする場合、前述したその他の型を、細分化するやり方もあります。
※ ※ ※ ※
古来の食の傾向が、そう簡単に変わるはずもなく、年代別支持率がいきなり顕著に変化するとは考えにくいです。
なので、短期間での改善効果を期待するのではなく、少し長い目で見て、年代別支持率が意図する方向に向かって変化しているのかどうかを、時系列に追いかけることが重要になります。
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本記事は、スーパーマーケット専門情報誌「食品商業」にて弊社分析推進室の清原和明が連載しているものであり、株式会社アール・アイ・シー社の承認の上掲載しています。
出典:食品商業2024年2月号「200万人の顧客データが語る「こうすればもっと売れる!」第34回」