リフト値を見ただけでは何の判断も下せない?

販売戦略において重要な役割を担うバスケット分析ですが、
リフト値をどう捉えるか悩まれる方は意外と多いのではないでしょうか。
今回は、バスケット分析の基本的な手順から実際の活用方法までご紹介します。
特に、リフト値の捉え方や伝え方など現場で活用するための方法を考えていきましょう。

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バスケット分析の基本手順とリフト値の概要

リフト値の概要の前にバスケット分析の基本手順をおさらいします。
例として基準商品Aと同時購買されている商品Bで考えます。

まずは、商品Aの購買確率を計算します。図1(1)
購買確率は全購買者の内、どれだけの人が商品Aを購入したかという割合です。

次に商品Bと商品Aが同時に購買されている確率を算出します。図1(2)
商品Bの購入者が、どれだけ商品Aも一緒に購入しているかという割合です。

この2つの数値を用いてリフト値を算出します。
商品A、Bの同時購買確率の値(2)を商品Aの購買確率の値(1)で割ったものがリフト値になります。
つまりリフト値とは、単純に商品Aが購入される確率より、
商品Aと商品Bを同時に購入する確率がどれだけ高いか低いかを表す数値です。
この値が1より大きくなればなるほど、同時購買される確率の方が高いと言えます。

リフト値をもとに同時購買されている商品を洗い出す手法がバスケット分析です。

図1 リフト値の計算ロジック

リフト値の基準値は1以上に縛られる必要はない!?

一見便利に見えるリフト値ですが、上限がないため、
値そのものではどの程度高いのか判断がつかないという分かりづらさがあります。

実際に計算してみると、商品Aの購買確率は全購買者を分母とするため、小数点以下の非常に小さい値になります。
さらに、その値を用いてリフト値の算出をするので大半の商品が極小値となってしまいます。

結果的に値のバラつきが広範囲にわたり、基準値である1を超える商品が山ほどでてきてしまうため、
1以上の基準も意味を成さなくなってしまうわけです。

そこでバスケット分析で知りたいことを整理してみます。
バスケット分析とは、商品Aと同時購買される商品B~Fのうちどの商品がより一緒に買われているかということを探し出すものです。

中でも、同時に購買される数が多いかつ、同時購買される商品(B~F)自体もより大きい方が
影響度が高く注目すべき商品ということになります。

つまり、同時購買確率が高い商品をランキングして、
その中でそもそも売数が高い商品に注目すれば自ずと実態は見えてきます。

さらに、このランキングがリフト値のランキングと完全一致しているというのも重要なポイントです。

図2 バスケット分析の全体イメージ

バスケット分析を浸透させるコツは「〇〇人に1人」

基準がなく分かりづらいリフト値も、100が上限の同時購買確率で補完して見ることで実感が湧きやすくなります。
さらに、現場で従事する人には何人に1人の割合かという表現をするとより腹落ちする表現にすることができます。

例えば、商品Aのリフト値が124.1でランキングのトップだと聞かされるより、
商品Aを購入した人の1.5人に1人が商品Bを購入していると聞く方が、
2つの商品を同じところに陳列するというアクションに繋がりやすいと思います。

バスケット分析の帳票にリフト値とあわせて同時購買確率を記載することで、現場に伝わりやすい帳票になるのではないでしょうか。

図3 同時購買商品の帳票

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本記事は、スーパーマーケット専門情報誌「食品商業」にて弊社分析推進室の清原和明が連載しているものであり、株式会社アール・アイ・シー社の承認の上掲載しています。

出典:食品商業2023年12月号「200万人の顧客データが語る「こうすればもっと売れる!」第32回」

データアナリスト紹介
清原和明
1981年ダイエー入社。95年西明石店店長、98年九州SM営業本部北福岡ゾーンマネジャー、99年九州SM営業本部エリアマネジャー、2001年営業企画本部FSP推進部長、05年近畿販売本部営業部長に就任。08年消費経済研究所に出向し、常務取締役マーケティング担当就任。その後、ダイエー関東営業本部営業部長を経て、12年データコム分析推進室室長就任
掲載情報
こちらの記事は、食品商業12月号に掲載されています。
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