3人に1人がシニアの時代になっても、シニアのマーケットが拡大するとは限らない?
人口減と少子化により、小売業界では顧客層の変化に関心が高まっているのではないでしょうか。
特に若い世代の減少とシニア世代の増加が顕著で、年代別支持率の分析に注目が集まっています。
今回の記事では年代別の動向を分析する上で前提となる人口減の実態について把握していきます。
高齢者の割合が増え続ける日本
まずは人口減における課題について考えていきます。
日本は65歳以上の高齢者の割合が世界一の国として報道されることは周知の通りです。
人口減の中、高齢者の人口だけが伸びてそれ以外が減少することで、この先も高齢者の割合が更に増え続けることが予測されています。
そのため、最も注視すべきは高齢者であると認識している人は少なくないでしょう。
高齢化は高齢者人口の増加ではなく、割合の増加
2022年を基準として13歳未満・15歳~64歳・65歳以上の3世代別の人口予測推移を見ていきます。(図表①)
総数が顕著に右肩下がりになっていることは人口減を裏付けるものですが、
3世代区分ごとに推移を比較すると、高齢層の増加率よりも、それ以下の2世代の減少率の方が際立っています。
今からわずか10数年先の2035年には、2022年と比較して15歳~64歳の生産年齢人口の1割強が減少し、14歳未満ではおよそ2割強が減少することが分かります。
一方の高齢層を見てみると、増加率は3.5%に留まっています。
この予測を見る限り、高齢化は、高齢人口の増加というより、高齢以外の年代層が大幅に減少することで、結果その割合が高くなる側面が強いと見るべきでしょう。
高齢者の割合が増えてもマーケット自体が増加するわけではない
最近、「3人に1人がシニアになる時代が間近に迫る」などの表現を目にすることがあります。
それを見ると、いよいよシニアの時代になると実感するでしょうし、確かにそれはその通りですが、大事なポイントは、割合がいくら増えても、実数が増えない限り、マーケットが増加するはずもないということを認識することです。
人口予測推移で高齢者の人口は3.5%の増加が予測されていましたが、その程度の増加率では、実情としてはそれ以上増加する地域もあれば、逆に減少する地域もあると捉えるべきです。
今後重要性が増す40代、50代への対策
したがって、一般論に流されることなく、あくまでも自社、自店の商圏を冷静に見極めることが重要になります。
特に地方の場合、高齢層以外の人口の減少にどう対処していくのか、そこにより重点的に取り組まなければならない店は少なくないはずです。
この予測の通り人口が推移すると想定すると、割合が増加するシニア対策はもちろん大事ですが、一般的なスーパーを支えてきた40代、50代のファミリー層の減少に対する対策は、それ以上に重要と言えるはずです。
少なくともこの先10数年は、高齢層の人口が目立って拡大することなく、生産年齢人口が著しく減少していくことが一番の課題だということになります。
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本記事は、スーパーマーケット専門情報誌「食品商業」にて弊社分析推進室の清原和明が連載しているものであり、株式会社アール・アイ・シー社の承認の上掲載しています。
出典:食品商業2024年2月号「200万人の顧客データが語る「こうすればもっと売れる!」第34回」