異端児商品が購買者の年代別間口を広げるキーになる!?

前回の記事では、人口減が続く時代には、意図したものや、商品の特性上ある決まった年代がターゲットになる商品でない限り、全年代から支持される商品の方が買われやすいということを説明してきました。
どの年代からの支持が高いのか?もしくは低いのか?ということをデータで見る機会は意外と少ないのではないでしょうか?
そこで、今回は食品の全購買者の年代別割合と各カテゴリーの商品の年代別割合を比較し評価できる5.1分類を活用して主要カテゴリーの実態を見ていきます。

この記事は下記ブログの続編です。前回の記事を読んでいない方は下記をクリックください。

食品の年代別のグループ分けは、5つのパターンがあれば充分!?

 

主要カテゴリーの5.1分類

筆者が考える食品の最も大きな括りである13グループの年代別支持率をグラフ化して見てみます。(図表①)
どのグラフも軸の最大値と最小値を揃えていますが、大きなカテゴリーで見ているためなかなか極端な特性は見えてきません。

おおよその傾向としては、果物・生鮮魚類・加工魚類の3グループはシニアの支持が高めと言えそうです。
反対にヤングの支持が高めなのは、酒類・菓子・加工食品の3グループです。
そして、ファミリー層で見てみると加工肉・生鮮肉の2グループ、残った日配の3グループと野菜、惣菜は顕著に突出した年代はありませんでした。

しかし、もっと小間かなサブカテゴリー単位で見ると、年代別支持率はより特徴が明確になります。

図表① 主要カテゴリーの年代別支持率比較 単位:%

「手間なし」「即食」が若い世代のキーワード

サブカテゴリ―ごとの事例で特性の差が出る要因についても考えてきます。
まずは、レタスやブロッコリー、きゅうりなどの「サラダ向きの野菜」と事前にカットされた「サラダ用カット野菜」をそれぞれグルーピングして比較します。

「サラダ向きの野菜」はグラフの形が5.1分類のシニア支持型になりますが、「サラダ用カット野菜」を見ると若い世代、ファミリー層での支持が高いことが分かります。
若い世代やファミリーからの支持の理由としては、手間いらず、即食可能な点が考えられます。

図表②-1 サラダ向き野菜とサラダ用カット野菜の比較

次に「トマト」と「ミニトマト」を比較してみます。
「トマト」が右肩上がりのシニア支持型のグラフになっているのに対して、「ミニトマト」は緩やかな放物線を描くファミリー支持型になっています。

弁当の彩にも最適なミニトマトだけに、子供がいる年代からの支持があるだけでなく、包丁不要でそのまま使える点でも、普通のトマトより若い世代の支持を得ていると考えられます。

図表②-2 トマトとミニトマトの比較

3つ目の事例は「果物」と「カットフルーツ」です。
典型的なシニア支持型の「果物」に対して、「カットフルーツ」は、その真逆のヤング支持型のグラフになります。
決して若い世代が果物を好まないということではなく、手間いらずに即食可能なものであれば手に取るということを物語っている事例です。

図表②-3 果物とカットフルーツの比較

最後は、「刺身」、「切身」、「丸魚」の年代別支持率の比較です。
グラフを見てみると「丸魚」から「切身」、「刺身」の順番にシニアの支持が高くなって行くことが分かります。
つまり、これも果物の事例と同じように、「丸魚」、「切身」よりも手間のかからない「刺身」が若い世代に支持されているということです。

図表②-4 刺身、切り身、丸魚の比較

 

年代別支持率を見ることがターゲット年代の間口を広げるヒントに

ここまでの事例を見る限り、生鮮食品は主に素材を中心に品揃えをする部門だけに、全体的にシニア支持型となるカテゴリ―が多い中、簡便、手間なし、即食といったキーワードに合致する要素を持っているグループに関しては、若い世代の支持が高くなる傾向があるということが分かります。

このように部門全体の傾向と異なるカテゴリーに注目することで、購買者のターゲット年代の間口を広げるヒントに繋げることが、年代別支持率を見る目的の1つになります。

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本記事は、スーパーマーケット専門情報誌「食品商業」にて弊社分析推進室の清原和明が連載しているものであり、株式会社アール・アイ・シー社の承認の上掲載しています。

出典:食品商業2024年3月号「200万人の顧客データが語る「こうすればもっと売れる!」第35回」

データアナリスト紹介
清原和明
1981年ダイエー入社。95年西明石店店長、98年九州SM営業本部北福岡ゾーンマネジャー、99年九州SM営業本部エリアマネジャー、2001年営業企画本部FSP推進部長、05年近畿販売本部営業部長に就任。08年消費経済研究所に出向し、常務取締役マーケティング担当就任。その後、ダイエー関東営業本部営業部長を経て、12年データコム分析推進室室長就任
掲載情報
こちらの記事は、食品商業3月号に掲載されています。
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