減塩の生味噌購買者の8割が、年間で同じ商品をリピートしている!

 

減塩商品の購入は健康志向の高まりとともに重要なテーマとなっていますが、
本当に消費者のニーズに応えているのでしょうか?

この記事では、醤油と生味噌の減塩商品に焦点を当て、
購入パターンの分析を通じてカテゴリーの現状と伸びしろを探ります。
特に、リピート購入率の高さと品目数に対する売上の割合から
減塩商品の需要とその背景にある消費者行動を深掘りしていきます。

醤油と味噌ですら減塩商品の品揃えは充分ではない?

醤油と生味噌のそれぞれの全購買者が1人当たり年間に何品目購買しているのか、
品目数別の割合を円グラフにまとめました。
どちらの商品も、全購買者、減塩商品を除く購買者、減塩商品のみの購買者の3グループに分けて比較しています。

それぞれの全購買者では両カテゴリーとも品目数が3までの購買者がほぼ均等に分布し、全体の75%近くを占めています。
減塩商品を除く購買者も同様の傾向が見て取れます。

しかし、減塩商品のみの購買者グループは年間を通して1品目しか購買がない人の割合が非常に高くなっています。
その値は醤油ではほぼ5割、生味噌では8割強を占めるほど高くなっており、
醤油や生味噌の減塩商品は同じものが繰り返し購買されることが分かります。

醤油と生味噌の減塩商品におけるリピーターの多さは、減塩商品の品揃えが比較的多いカテゴリーですら、
購買者にとっては依然充分ではないということを示していると考えられます。

醤油と味噌の1人当たり購買品目数別の構成比 単位:%

リピーターの多さと減塩商品の伸びしろ

また、リピーターの多さを物語るものとしてもう一つ、減塩商品の品目数の割合に対する売上の割合の高さがあります。

醤油の減塩商品の品目数は8.6%に対して、売上の割合は20%を超えています。
生味噌についても品目数の5.8%に対して、売上は13.5%と倍以上の高い値が示されています。

品目数に対して売上の割合の方が小さければ、
品目数の割に売れていないので品揃えの拡大を検討する余地は少ないと考えられます。
しかし、醤油と生味噌についてはその逆で、売上に対して品目数の割合が小さいので、
まだまだ減塩商品の伸びしろがあると見るべきでしょう。

各カテゴリーにおける減塩商品の割合

シニアの世代の割合が高い減塩商品

ちなみに、各カテゴリーの売上に占める減塩商品の割合を年代別に確認してみたところ、
特性が見られたのは、醤油と野菜飲料のカテゴリーだけでした。
どちらのカテゴリーもシニア世代の減塩商品の割合の高さが顕著に表れていました。

特に、醤油については昔からある基礎調味料だけに、
シニアが好みの商品を繰り返し購入する傾向が強い
ブランドコミットメント型のカテゴリーであることを示しているものだと考えられます。

年代別売上の割合 単位:%

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本記事は、スーパーマーケット専門情報誌「食品商業」にて弊社分析推進室の清原和明が連載しているものであり、株式会社アール・アイ・シー社の承認の上掲載しています。

出典:食品商業2023年12月号「200万人の顧客データが語る「こうすればもっと売れる!」第32回」

データアナリスト紹介
清原和明
1981年ダイエー入社。95年西明石店店長、98年九州SM営業本部北福岡ゾーンマネジャー、99年九州SM営業本部エリアマネジャー、2001年営業企画本部FSP推進部長、05年近畿販売本部営業部長に就任。08年消費経済研究所に出向し、常務取締役マーケティング担当就任。その後、ダイエー関東営業本部営業部長を経て、12年データコム分析推進室室長就任
掲載情報
こちらの記事は、食品商業1月号に掲載されています。
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